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ミャンマー国軍「虐殺」の共犯者

武器「闇供給」を支える国々

2023年7月号

 ミャンマー国軍がクーデターに踏み切ってから二年余りが過ぎ、現地の状況は泥沼の一途を辿る。反軍政勢力や民主派ゲリラの抵抗に手を焼く国軍は民間人の犠牲を顧みず、抵抗勢力の潜伏を疑う村々を容赦なく空爆している。攻撃には主にロシアや中国製の兵器が使われているが、スペアパーツや兵器製造用の原材料はシンガポールやタイを中継地に取引されていることが分かってきた。
 戦闘が最も激しいザガイン管区。一千人余りの住民が暮らすパズィージー村を四月に襲ったロシア製の複座高等ジェット練習機「Yak-130」が物議を醸している。村では当時、民主派である挙国一致政府(NUG)の行政事務所の開所式が開かれ、子どもを含む三百人が出席していた。Yak-130は、群衆に向かって爆弾を投下。続けざまにロシア製の攻撃ヘリコプター「Mi-
35」が逃げ惑う人々を目がけてPK機関銃を乱射した。
 現場の状況は凄惨を極めた。日本メディアは遺体の写真を使わないため、こうした虐殺の実態は全く伝わらない。人定不可能な肉片と化した死者は、少なくとも百六十人と報じられたが、正確な数字は分かっていない。原形をとど・・・

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