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サウジが目指す「文化立国」の欺瞞

専制国家の醜い「イメージ戦略」

2023年7月号

 国内の人権状況で評判が悪かったサウジアラビアが、ソフトパワーでイメージの一新を図っている。ほとんど注目されなかった国内サッカー・リーグに、ポルトガルのスーパースター、クリスティアーノ・ロナウドら欧州のトップ選手を次々と移籍させるなど、今年オフの欧州サッカー界の話題を独占している。
 自国内では最近まで映画そのものが禁止されていたのに、巨額投資で大型映画祭をスタートさせた。厳格なイスラム教の各種規制によって、「文化不毛の地」とされた国が、金力で文化・芸術のソフトパワーを確立できるのか。世界の注目を集め始めた。
 サウジのサッカー界は今年、大きな衝撃波を世界に送った。英プレミア・リーグの「マンチェスター・ユナイテッド」を解雇されたロナウドを、首都リヤドにある「アル・ナスル」が獲得したからだ。
「英国のファンの多くは、サウジにプロのリーグがあることも知らなかった。ロナウドが行くほどのチームがあるのか、ロナウドはそこまで落ちぶれたのか、と喧喧囂囂だった」と、在英のスポーツ紙記者は言う。
 アル・ナスルは七月、日本にやって来る。イタリアの「インテルナツィ・・・

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