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中国マフィア「オンライン詐欺」の恐怖

東南アジア「人身売買」で新手口

2023年10月号

 首都プノンペンにあるアパートをカンボジア当局が急襲したのは九月十一日のこと。特殊詐欺事件に関与した日本人二十五人を拘束した。カンボジアでは四月にも、南部のシアヌークビルで詐欺に関与した日本人十九人が逮捕されており、同国が犯罪組織の拠点となっていることが明るみに出た。しかしながら、これは氷山の一角に過ぎない。中国マフィアを中心とする国際犯罪組織はカンボジアやミャンマー、ラオスなど、規制の緩い東南アジア諸国を拠点にオンライン詐欺を繰り返し、数十億ドルの被害が出ているのが実態だ。
 オンライン詐欺の源流は、カジノやオンライン賭博にある。中国ではカジノやオンラインギャンブルが禁止されていることから、中国の犯罪組織は以前からカンボジアなどを拠点としてきた。カンボジアには中国資本の複合施設やカジノが数多く存在し、特に中国系カジノが乱立するシアヌークビルは「第二のマカオ」と呼ばれ、多くの中国人を惹きつけた。
 コロナ禍を受け、多くの国でカジノが閉鎖されると、オンライン賭博が主流となり、オンライン詐欺も増えていった。感染防止対策でステイ・ホームを強いられた人たちが自宅に閉じこもり・・・

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