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社会・文化

外務省が法外な「概算要求」 外交成果ゼロでも組織肥大化

2020年11月号公開

 外務省が二〇二一年度予算の概算要求として、今年度の当初予算比一三・六%増の八千九十億円を提示し、「外交成果は何もないのに税金泥棒だ」(自民党議員)と批判を呼んでいる。
 外務省は来年度、ベトナムのダナン、カンボジアのシエムリアップに総領事館、アフリカのエリトリアなどに駐在官事務所を開設するとしている。在外公館は二百二十七カ所もあり、人口が減っていくのに、海外のナワバリをさらに増やそうとしている。来年度予算では、在外公館の修繕、質の高い公邸料理人確保、医務官制度拡充など内輪の居心地が重視された。
 予算増は新型コロナ対策などを口実にしているが、コロナ禍で外交活動は中止。外交官は国内の三倍近い収入を得て、広大な公邸や高級マンションで優雅な巣ごもり生活だ。米国では、トランプ大統領が外交予算を三割削減したため、キャリア外交官百人以上が退職したが、日本の王侯貴族・キャリア外交官の退職は聞いたことがない。
 


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