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「第三の戦争」東アジアが危ない

マーク・ケルトン(米CIA元国家防諜局副局長)

2024年1月号

 ―二〇二四年に緊張が高まるエリアはどこですか。
 ケルトン 
世界には、米国や日本のように民主主義を守るという価値観を共有した国家群が存在する一方で、中国やロシア、イラン、北朝鮮とその準同調国から成る中央集権的な「専制主義の枢軸」と呼ばれる国家群がある。近年の、米国のアフガニスタン撤退やロシアによるウクライナ侵攻、イスラム組織ハマスによるイスラエルへのテロ攻撃は、米国の優柔不断さと軍事的能力低下が原因のひとつだ。米国や同盟国が抑止力を回復させる意思と能力を高め、断固たる姿勢を見せない限り紛争は続く。今後もロシアはイランや北朝鮮から軍事的支援を受け、ウクライナで可能な限り領土的支配の強化と拡大を図るだろう。イランは、中国からの経済的なバックアップを受け、対イスラエルなど中東地域での混乱に関与する。そして一月の台湾総統選の結果いかんでは東アジアで中国が主導する危機が起きる可能性は高い。
 ―米国にそれらを抑止するだけの力はありませんか。
 ケルトン
 ない。ロシアは二四年以降もウクライナ侵攻を継・・・

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