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経済

「金利のある日常」で正気に戻れ

櫻川 昌哉 (慶應義塾大学経済学部教授)

2024年5月号

―現状の株価の上昇は、かつてのバブルと似ていますか。
櫻川 それは違うだろう。日経平均株価で見た場合、1980年代後半の4万円と今の4万円では意味が違う。あの頃がバブルだったから、今もバブルだというのは安直な議論だ。当時は間違いなくバブルで株価は一瞬で下がっていった。今回の株価上昇には根拠がある。10年前と比較して、企業は2倍の配当金を払っており、株価が当時の1万5千円の2倍になるのは説明可能だ。また円安や実質金利の下落を加味すれば、日経平均4万円というのは特段おかしな数字ではない。

―不動産の価格上昇は尋常ではないようにみえます。
櫻川 たしかに東京のマンションなどの価格上昇は異様だ。どう考えても50~60平米のマンションの価格が1億円を超えるのはおかしい。外国人による購入の影響もあるのだろう。ただし、前回の土地バブルとは状況が違う。かつては商業用の不動産が高騰し、それを担保に企業がカネを借りるということを繰・・・

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