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社会・文化

日本の科学アラカルト 163

認知や精神の病を早期発見 日進月歩の「脳検査」

2024年3月号

 ヒトを他の動物と区別する最大の特徴は知恵であり、人類はそれを司る「脳」という器官の探求を続けてきた。
 古代エジプト人は、人間の「心」は心臓などの臓器にあると考えていた。こうした考え方は後々まで残るが、紀元前四五〇年ごろの古代ギリシャ人の間では、既に心は脳にあるという考えが広がっていたようだ。記録に残る中では、「医学の父」とも称されるヒポクラテスが、「脳が思考に関与している」と説いている。
 脳内に無数の神経細胞(ニューロン)があり、それが突起を介して繋がってネットワークを構成していることが発見されたのは、ずっと時代が下って1873年のこと。イタリアの学者、ゴルジが細胞を染色することで見出した。
 その2年後には脳内の電気信号を観察して「脳波」という概念が生まれている。当初は、動物の脳に電極を設置して計測していたが、後に頭皮上からも測定することができるようになった。リアルタイムで脳の動きを知るというのは、極めて画期的なことで、これ以降、脳波は脳研究の重要分野となった。
 1970年代に入ると、X線を使ったコンピュータ断層撮影技術が登場。頭蓋骨を・・・