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経済

仁義なき「企業買収時代」の幕開け

日本資本市場も「弱肉強食」が定着

2024年4月号

「ニデックの永守さんが開けたパンドラの箱に、みんな寄ってたかってきている」「もういくつも同じような案件が走っている」。多くの投資銀行マンがこう語るのは、もっか急増中の同意なき買収案件だ。
 3月にはブラザー工業がローランドディージー(DG)に、さらにアマゾンの配送請負で急成長したAZ-COM丸和ホールディングスがC&Fロジホールディングスに、ともに同意なきTOB(株式公開買い付け)提案をするなど、もう流れは止まらない。
 同意なき買収とは、文字通り、買収される側の同意がないまま買収スキームを発表するやり方。以前は敵対的買収と呼ばれていたが、昨夏に経済産業省が発表した「企業買収における行動指針」で、「敵対的」という呼び名を「同意なき」というフレーズに言い換えてから、半年あまりで世の中に定着した。
 これまで、日本の企業社会では敵対的買収はお行儀が悪いと忌避されてきたが、経産省が「企業価値や株主価値の向上につながる真摯な買収提案を受けたのであれば、(例え嫌であっても)真摯に検討しなければいけない」と指針で示した結果、「同意なき買収が、お上のお墨付きを得た」(メ・・・

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