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中国共産党が 「異例人事」で大揺れ

習近平一強と対米強硬からの「転換」

2025年5月号

「中国共産党中央の権力バランスに異変が起きている」
 4月以降、北京の共産党幹部の間でこのような囁きが聞こえるようになった。理由は三つある。一つ目は党中央の組織部長と統一戦線工作部長が突然ポストを交換したこと。二つ目は、中央軍事委員会副主席の何衛東上将が「失踪」したこと。三つ目は、胡錦濤元国家主席の側近、胡春華氏の復権の兆しが見えたことだ。米中対立が深まる中、「米国と融和路線を取る改革派が権力の中枢に戻り始めた」との見方が出ている。

降格された「習派幹部」

 4月2日、中国官製メディアに発表された党中央人事が大きな波紋を広げた。人事を統括する組織部長を務めていた60歳の李幹傑氏が、香港や台湾などで党の影響力拡大を図る統一戦線工作部のトップに就任した。事実上の降格だ。その後任には統一戦線工作部長だった68歳の石泰峰氏が就いた。中国共産党の歴史上、政治局員クラスの高級幹部でこのような直接のポスト交換はほとんど前例がない。
 党中央では組織部、宣伝部、統一戦線工作部が三大部門だ。トップである部長・・・

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