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経済

世界株高「お祭り相場」の剣呑さ

インフレの暗雲と「調整」の予兆

2025年9月号

 トランプ政権が世界各国に貿易で喧嘩を売るなか、米国の外では各地で株高が起こっている。その波は日本にも到来。日経平均株価は札束で殴り合いをするお祭り相場となり、連日の外国人買いによる暴力的な上昇で高値を記録してきた。
 だが、この欲望むき出しで過熱する日本株や世界株の前に、インフレの暗雲が垂れ込めている。
 株価指数算出大手の米MSCI指数(国別・地域別・8月20日時点)で年初来の世界各国の株価パフォーマンスを比較してみよう。
 上位5カ国は、ギリシャ(67・78%高)、ポーランド(60・86%高)、スペイン(56・19%高)、ベトナム(52・99%高)、オーストリア(50・76%高)となっている。ユーロ圏が28・70%高、日本は18・69%高。日本は足元で高値を更新して上がっているものの、世界平均をやや下回っている。米国のS&P500指数は8・74%高となっており、米国を除いた世界株価指数の21・2%高と比較して大きく劣後している。米国例外主義からの修正が起こっていることが分かる(株価はドル建ての比較)。
 世界全体で足元の自社株買いは記録的だ・・・

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