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経済

《地方金融の研究》栃木信用金庫

国債含み損で「支援要請」第1号

2025年9月号

「含み損」の存在が信用金庫の屋台骨を揺さぶり始めた。異次元緩和の下、全国の信金は余資運用としてこぞってリスクゼロの日本国債を積み上げた。地元に優良な貸出先が乏しいためだ。とりわけ血道を上げたのが10年物や20年物など長期・超長期債の買い入れ。償還までの期間が長ければ長いほど利回りは高くなる。長めの物を買い増して少しでも収益を稼ごうとしたわけだ。
 だが、金利上昇局面では逆に長期債であればあるほど債券価格の下落幅が大きくなる。こうして各信金は保有有価証券に巨額の含み損を抱えるハメに陥ったのだ。国内254信金の保有国債残高は約8・6兆円(2025年5月末時点)。うち200を超える信金が含み損を抱えているとされ、多くがその損失処理に苦吟する。中には自己資本を食い潰す恐れが高まり資本支援を仰がざるを得なくなる信金も出てきた。その第1号が栃木市に本店を置く栃木信用金庫。信金の中央機関である信金中央金庫から近く50億円規模の資本注入を受ける。支援スキームは調整中だが、信金中金が創設した「信用金庫経営力強化制度」に基づく、優先出資の引き受けなどが有力だ。
 栃木信金が資本注入の要・・・

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