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連載

新大学評判記 第69話

武庫川女子大学 安易な「共学化」が招く混乱

2025年9月号

 日本最大の女子大学である武庫川女子大学(兵庫県西宮市)が2027年度から男女共学に移行する、と発表した。女子大の多くが志願者減少で経営が悪化、共学化に踏み切る学校も続出している。その中で、約9600人の学生を抱え、文学、教育、看護、薬学、経営、建築など13学部を展開するマンモス女子大の〝変心”は大学業界に衝撃を与えた。国公立、私立を問わず、日本の大学の多くが暗い将来像しか描けない中、女子大にとって共学化が解決策になるわけでもない。女子大が建学の精神を捨てざるを得ない状況にある。
 武庫川女子大は阪神甲子園球場にほど近い交通至便の土地に「中央」「浜甲子園」「上甲子園」の3キャンパスを構える。阪神本線沿いの中央キャンパスの最寄り駅は「鳴尾・武庫川女子大前」と大学名を冠しており、関西での知名度は抜群だ。中央キャンパスはシックな茶系のタイル張りの校舎が整然と並び、雰囲気もいい。
 偏差値は最上位の食物栄養科学部の55~60から音楽学部の35まで学内格差は大きいが、決して難関大学ではない。関西の名門女子大とされる京都女子大学、同志社女子大学などとは歴然とした大学・・・

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