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インドが中国に「労働人口」で圧勝

日本企業「海外展開」の重要指標

2025年10月号

 トランプ関税が引き起こしたグローバル経済の混乱では、主要各国の製造業の関心は国別関税率に集中している。関税率と労働コスト、物流費を基に新たなサプライチェーンの再構築に動いているが、そこでは中長期的に最も重要な要素が見落とされている。人口動態だ。
 中国は今も世界第2位の人口を抱え、「脱中国」をためらう企業も少なくないが、30年後、労働力はインドの半分近くに縮小する。日本企業の好むベトナム、タイも10年先には深刻な人手不足に陥る。生産年齢人口(15~64歳)こそ今、海外展開する日本企業が直視すべき指標なのだ。
 2023年春、総人口でインドが中国を抜いて世界最大の人口大国となった。その後、今年6月に公表された国連人口白書ではインドと中国の人口差は約4800万人まで拡大した。国連世界人口推計(中位推計)によると、40年に中国の人口は約13億8千万人に減り、インドは16億1千万人まで増え、2億3千万人の大差がつくことなる。
 日本では今後、中印両国が大人口国として競う時代が来るとの印象を持つ人が多いが、現実は「増えるインド、減る中国」のコントラストは残酷なほど・・・

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