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米中「急接近」は本物か

騙し合いの「ディール」が始まる

2025年10月号

 北京の天安門広場で9月3日に「抗日戦争勝利80周年記念」の大規模な軍事パレードで、軍事力と権威を内外に示した中国の習近平政権はその後、いきなり対米姿勢を軟化させた。米国も中国に歩み寄り、10月に第2次トランプ政権で初の米中首脳会談と来年初めのトランプ氏訪中が決まっている。様々な物議をかもしている2人の指導者の「急接近」。その裏に潜む思惑は何なのか―。
 習近平国家主席は9月19日、トランプ大統領と電話会談し、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業売却について同意する意向を示した。売却について強く反対してきた中国にとって「重大な譲歩」といえる。
 中国共産党の機関紙、『人民日報』は、今回のティックトックの米国事業の売却合意について「(米中間)の相互尊重、平和的共存、ウィンウィンの協力関係を築くため」と高く評価した。
 ほんの数カ月前までは、中国の官製メディアは売却に猛反対し、計画を強引に推進しようとする米国を「強盗」と罵倒していた。これは豹変だ。

「お土産」と三つの要望   ・・・

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