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中東戦争はさらに燃え盛る

イスラエルの「次の標的」はどこか

2025年10月号

 これは第5次中東戦争の序章なのだろうか。いや、それはすでに始まっているとみるべきか。イスラエルの暴走は、9月9日のカタール・ドーハへの空爆へと突き進み、もはや止める者すら見当たらない。米国と親密なカタールへの直接攻撃という一線を、易々と超えてしまった。ハマス殲滅を錦の御旗に、イスラエルは中東全域へ戦火を拡大させるつもりだ。
 標的にされたハマス幹部は、米国が仲介する人質交換・停戦案を検討していた会合中であった。ネタニヤフ首相は気でも狂ったのか。
 アブラハム合意を広げ、アラブ諸国との融和を目指していたはずが、それを真っ向から否定する所業に出たのだ。
 首相は「今後もハマス幹部はどこにいようと標的になる」と強硬姿勢を崩していない。イスラエルはどれほど孤立を深めようと、中東のどの国であれ、直接攻撃をする覚悟だと宣言しているのだ。これを中東戦争と呼ばずして何と呼ぶのか。
 米国のトランプ大統領は「この空爆が停戦と人質解放の機会を葬りかねない」と異例の懸念を表明すると同時に、攻撃の事前通告を受けていなかったと釈明に追われた。

中東全域を攻撃対象にする口実・・・

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