金融の世紀
第35回【ピケンズの敗北】
黒木 亮
2025年11月号
小糸製作所株を手に入れ、高値で買い戻させることを目論んで積極的に米国の政治家やメディアに働きかけたT・ブーン・ピケンズだったが、過去の行状からグリーンメーリングであることに疑いがないという見方が強く、ダン・クエール米副大統領は日本記者クラブでの会見で、「本件はあくまで民間企業の問題で、政府として関与する考えはない」と表明した。
ピケンズの株保有が明らかになった翌年の1990年6月27日(小糸製作所の第90回定時株主総会の前日)、ピケンズは、日経新聞、読売新聞など全国紙4紙に意見広告を打ち、「中心となる課題は小糸製作所の系列関係であり、小糸製作所の経営者及び系列システムの頂点に位置する企業(注・トヨタ自動車)はなぜ(株を保有する)ブーン社を小糸製作所の取締役会に受け容れようとしないのか」と訴えた。
しかし、トヨタ自動車は、当初から、本件はあくまでも小糸製作所の経営問題で、自分たちは一株主・一発注者に過ぎないという立場を貫き、動かざること山の如しに徹した。
ピケンズにとって2度目の挑戦となった株主総会では、長村義郎副社長が「ブーン社は企業規模や米国での・・・
ピケンズの株保有が明らかになった翌年の1990年6月27日(小糸製作所の第90回定時株主総会の前日)、ピケンズは、日経新聞、読売新聞など全国紙4紙に意見広告を打ち、「中心となる課題は小糸製作所の系列関係であり、小糸製作所の経営者及び系列システムの頂点に位置する企業(注・トヨタ自動車)はなぜ(株を保有する)ブーン社を小糸製作所の取締役会に受け容れようとしないのか」と訴えた。
しかし、トヨタ自動車は、当初から、本件はあくまでも小糸製作所の経営問題で、自分たちは一株主・一発注者に過ぎないという立場を貫き、動かざること山の如しに徹した。
ピケンズにとって2度目の挑戦となった株主総会では、長村義郎副社長が「ブーン社は企業規模や米国での・・・









