本に遇う 第311話
誤報は繰り返される
河谷 史夫
2025年11月号
新聞は誤報する。
現職のトルーマン(民主党)とニューヨーク州知事デューイ(共和党)が対決した1948年の米大統領選は、下馬評で現職が不利とされたという。開票中シカゴ・トリビューンが「デューイ、トルーマンを破る」と大見出しを掲げた早版を出し、これが「世紀の大誤報」となる。その紙面を手に大笑いするトルーマンの写真は新聞学の必見教材であった。
部数の激減で各社苦戦の新聞界にあって「唯一無二の全国紙を目指す」という読売新聞がこの夏、「世紀」とまではいかぬが「数年に一度」級の誤報を連発した。
参院選に与党が惨敗して3日後の7月23日、「首相退陣へ」と号外を発行し、きょうにも辞めるのかと思わせた。だが石破茂は否定して続投を表明。9月3日、読売は「退陣」を誤報として、お詫び、編集担当以下5人の社内処分、検証記事を発表するに至った。それによると、首相は「辞める」と一旦明言したのにもかかわらず、「報道を受けて翻意した」とある。
「政治部は、側近や首相秘書官のみならず、首相本人の発言を確認することを最優先に取材を進めてきた」(そりゃそうだろうよ)が、石破には・・・
現職のトルーマン(民主党)とニューヨーク州知事デューイ(共和党)が対決した1948年の米大統領選は、下馬評で現職が不利とされたという。開票中シカゴ・トリビューンが「デューイ、トルーマンを破る」と大見出しを掲げた早版を出し、これが「世紀の大誤報」となる。その紙面を手に大笑いするトルーマンの写真は新聞学の必見教材であった。
部数の激減で各社苦戦の新聞界にあって「唯一無二の全国紙を目指す」という読売新聞がこの夏、「世紀」とまではいかぬが「数年に一度」級の誤報を連発した。
参院選に与党が惨敗して3日後の7月23日、「首相退陣へ」と号外を発行し、きょうにも辞めるのかと思わせた。だが石破茂は否定して続投を表明。9月3日、読売は「退陣」を誤報として、お詫び、編集担当以下5人の社内処分、検証記事を発表するに至った。それによると、首相は「辞める」と一旦明言したのにもかかわらず、「報道を受けて翻意した」とある。
「政治部は、側近や首相秘書官のみならず、首相本人の発言を確認することを最優先に取材を進めてきた」(そりゃそうだろうよ)が、石破には・・・









