10月１日から43日間にわたってアメリカ連邦政府が閉鎖したことで、何十万人もの職員が一時帰休となり、食料支援など数百万人が利用するサービスも停滞した。この混乱を「政府の肥大化」あるいは「機能不全」の証拠と解釈する見方もあるが、その背後ではより本質的な変化が進んでいる。今回の政府閉鎖と短期のつなぎ予算が示したのは、単なる業務停滞ではない。ワシントンＤ.Ｃ.の官僚機構に集約されてきた権限が、州政府、企業、デジタルシステムへと分散しつつある構造的な変化だ。
　連邦政府は依然として巨大な予算と制度を握っているが、それらを統率する力は細りつつある。採用抑制、政治任用の増加、自動化への依存が、党派対立による膠着と重なり、統治の中心部は断片化し、周縁部は分散化するという新しいモデルが生まれている。この「つぎはぎの権力（パッチワーク・パワー）」が、２０２６年の中間選挙に向け、アメリカ政治のあり方を決定づける可能性がある。

州や企業の権限が拡大

　こうした変化は25年に顕在化した。第１に、政府は意図的なスリム化を進・・・