三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

WORLD

ウクライナ和平で米露の「裏交渉」

トランプ「ロシア偏重」の理由

2025年12月号

 ドナルド・トランプ米大統領がウクライナに対し、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンの要求をほぼ丸のみしたような28項目からなる和平案を突き付けた。ウクライナに受け入れ期限を示し、拒否した場合は米国からの武器の売却とインテリジェンス情報の共有を打ち切る構えも見せた。背景を探ると、裏交渉の実態が浮かんでくる。
 和平案はこの10カ月の交渉は一体何だったのかと思わせる内容だった。ロシアが占領していない地域を含む東部ドンバス地方の割譲やウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への加盟断念に加え、ウクライナ軍の人員半減や100日以内の選挙の実施、ロシアへの制裁解除まで、これまで以上にウクライナに不利な条件に踏み込んだ。
「新たなデイトン」。クレムリンでは和平案についてそんな言葉が飛び交った。ユーゴスラビア崩壊後にボスニア・ヘルツェゴビナで起きたボスニア(ボシュニャク)人、セルビア人、クロアチア人による三つ巴の紛争を巡る1995年の和平合意と重ねている。
 ボスニアの紛争と背景は異なるが、当時も当事国と交渉することなく米国主導で「和平」を強制した。セルビアの後ろ盾だっ・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます