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フランスを襲う「激安衣料」の大波

中国「シーイン」が広げる社会分断

2025年12月号

 米国の仕掛けた貿易戦争に「勝利」し自信を付けた中国が、生活様式まで覇権を取りにきた―。中国発の激安オンライン・ファッション通販会社「SHEIN(シーイン)」がモードの中心地・パリに進出した「事件」は、新たな中国脅威論を引き起こしつつ、フランス社会の上下の分断も露見させた。
 11月、パリ中心部の老舗百貨店BHVにシーインが世界初の実店舗を開業。開店直前、シーインが児童ポルノに該当しうるラブドールをサイト上で販売していることが報じられ、批判が一気に過熱した。左派は環境破壊や労働搾取など「資本主義の悪事を煮詰めた企業」と非難し、右派は「欧州連合と刺し違える覚悟で断固、規制を」と勢い込んだ。左右一丸の中国製批判を意識して、政府はシーインにサイトの運用停止を警告。児童ポルノ容疑は司法手続きが開始され、監視は中国系の他の通販サイトにも拡大した。パリの空港税関では中国から届くシーインの小包を全開封する措置に出た。2020年の新型コロナウイルス禍以来の、フランスにおける中国への強い拒絶反応だった。

増幅される「反EU」感情
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