三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

連載

金融の世紀

第39回【金融界に旋風起こした「KKR」】
黒木 亮

2026年3月号

 近年、日本の企業買収において、LBO(レバレッジド・バイアウト)を使うケースが増えている。2006年のソフトバンクによるボーダフォン日本法人の買収(約1兆7500億円)や、2023年の日本産業パートナーズ(JIP)による東芝の買収(約2兆円)などが代表例だ。被買収企業の資産を担保に資金を調達し、少ない自己資金にレバレッジ(てこ効果)をかけて買収を実現し、高い投資効率を上げる手法だ。
 LBOが日常的に使われるようになったのは、1970年代半ばに第4波のM&Aブームが起きた米国である。T・ブーン・ピケンズやカール・アイカーンのような企業襲撃屋が跋扈し、経営者たちは、戦々恐々となった。こうした状況下、経営者のニーズに応える形で、LBOが広まっていった。
 この手法で金融業界に旋風を巻き起こしたのが、LBO業界の巨人として君臨したKKR(Kohlberg Kravis Roberts & Co.)である。その源流は、30代の終わりにLBOを手がけ始めた準大手投資銀行ベアー・スターンズ(本社・ニューヨーク市)のコーポレート・ファイナンス(企業金融)の共同責任者、ジ・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます