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社会・文化

「がん抑制遺伝子」が開く新治療

医学界注目「画期的創薬」が進行中

2026年4月号

 がん治療で、細胞増殖を抑制する「がん抑制遺伝子」を利用した画期的な創薬が現実味を帯びてきた。多くの場合、この遺伝子は変異によって機能を失うため、その働きを薬で回復できないとされてきた。だが最近、それを克服する可能性のある新しい薬剤が報告された。がん治療のみならず、予防にも効果が期待されている。
 この薬剤はレザタポプトという低分子の経口薬で、米バイオベンチャーのPMVファーマが開発した。
 PMVファーマの創業者の一人は、分子生物学者アーノルド・レビン氏である。1979年にレザタポプト開発に深く関わるp53たんぱく質を発見した研究者として知られ、この領域の世界的権威だ。そのレビン氏らが率いる研究チームが、巨額の資金を投じ、構造解析とAIという最先端技術を組み合わせて今回の創薬を進めてきた。
 レザタポプトは、強力ながん抑制遺伝子で、「ゲノムの守護者」とも呼ばれるTP53が生成するp53たんぱく質に作用する。TP53遺伝子はがん化を防ぐ重要な役割を担う。この遺伝子に変異が起こったり、機能が失われたりすると、細胞増殖の制御が破綻し、さまざまながんの発症につな・・・

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