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経済

今が最後の「石油危機」

戦争が早めた需要「ピークアウト」

2026年5月号

 ホルムズ海峡をめぐる米・イランの主導権争いの奇妙な点はトランプ政権が圧倒的な軍事力で強制開放しない点にある。湾岸地域で展開される「勝者なき長期の混乱」は一見、石油消費国の不利益にみえるが、最大の打撃を受けるのは輸出が細り、市場を失うサウジアラビアなど湾岸産油国である。石油需要のピークアウトは2030年とも目され、確実に近づいている。石油は「資源を争う時代」から「市場を奪い合う時代」に移行した。石油を突き動かす論理の転換を理解しなければ、イラン危機の本質も今後の展開も読むことはできない。
 世界の原油貿易の流れは変わった。ホルムズ海峡を封じられた消費国はありったけの原油タンカーをメキシコ湾岸やブラジル、ロシア、西アフリカに向かわせ、新しい原油サプライチェーンが姿を現し始めている。特に米国とロシアは余剰供給力をフル活用し、原油を「売って、売って、売りまくっている」。石油ビジネスにおけるホルムズ封鎖の勝者が米露であることは明らかだ。
 では、米イラン協議や第三国の仲介で、ホルムズ海峡の封鎖が解かれたら何が起きるか。湾岸産油国が輸出を急回復し、原油を満載した大型タンカーが・・・

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