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米国で始まる「原発大増設」

日米連携で猛進する新「産業政策」

2026年5月号

 米国の産業政策が、いま大きな転換点を迎えている。それを象徴するのが、日米が打ち出した400億㌦(約6兆3千億円)規模の原子力投資だ。3月19日、ホワイトハウスは高市早苗首相とトランプ大統領の首脳会談に合わせ、テネシー州とアラバマ州での次世代原子炉「小型モジュール炉(SMR)」事業への巨額投資を発表した。米GEベルノバと日立製作所が担うこの計画は、日本が昨年約束した対米投資5500億㌦の第2弾の中核を成す。
 そして、この巨額投資を実際に動かす要となるのが、テネシー川流域開発公社(TVA)だ。大恐慌時代に誕生したこの公営電力会社は、この1年で静かにその役割を転じ、共和党が進める新たな産業政策の中枢へと変貌しつつある。

旗振り役は「元駐日大使」

 1933年に連邦議会が設立し、連邦政府が所有するTVAは、米南東部7州の約1千万人に電力を供給する。9人の理事は大統領が指名し、上院の承認を経て5年の任期を務める。つまり、理事会を掌握することがTVAの戦略を支配することとなる。現政権は、この人事権を行使した・・・

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