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連載

大往生考 第77話

ちょっと不思議な愛の形
佐野 海那斗

2026年5月号

 知己の外科医が3月に亡くなった。81歳。認知症を患った末の最期だった。元妻は、昨年2月号でご紹介した未分化腫瘍で亡くなった女性医師である。元妻の後を追うようだった。男と女の間には、余人には分からぬ「あや」があるものだ。
 彼の死は、長女が知らせてくれた。四国の地方都市にある元妻の実家は、代々病院を営んでいて、現在、病院は手放したが、残った健診センターやクリニックを医師の長男が継いでいる。
 外科医と元妻は20年ほど前に離婚している。彼は婿養子で、離婚後は生家の姓に戻っていた。その後、再婚したものの、数年前から別居。ただ婚姻関係は続いていた。
 外科医も同じ四国の出身で、実家は洋装店を営んでいた。幼少期から成績優秀で、地元の進学校を経て京都大学医学部に進学した。その才を見込んだ元妻の父親は在学中から経済的に支援し、元妻が東京の私立医科大学を卒業するのを待って、二人を結婚させた。
 当初、夫婦の仲は良好だった。3人の子をもうけ、妻は診療の傍ら、夫を献身的に支えた。大学院時代、夫が深夜まで研究に没頭すると、夜食を届け、実験器具の洗浄や片付けまで手伝っ・・・

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