三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

WORLD

トランプ「台湾離れ」が危険水域に

米中会談の衝撃と頼清徳の誤算

2026年6月号

 5月中旬、北京で行われた米中首脳会談は、台湾に冷酷な現実を突きつけた。トランプ大統領が台湾問題でどこまで中国に譲歩したのかという危惧もさることながら、より深刻なのはワシントンが台湾を見る目が明らかに一変し始めていることだ。膨れ上がるばかりの対米物品貿易黒字。米国に武器売却を求めながら防衛費大幅増もままならない頼清徳政権。米政権には憤懣が鬱積している。
 トランプ氏は中国側との会談や記者会見で、「台湾独立を望まない」という趣旨の発言を繰り返し、台湾の半導体産業について「米国から盗んだ」と主張した。独立志向を持つ民進党政権にとって大きな衝撃だった。
 野党は「民進党政権の路線が米国を怒らせた」と攻撃した。頼政権は「台米関係は堅固だ」と繰り返したが、総統の言葉にはかつての力強さはなかった。
 ワシントンの通商関係者は「トランプ政権の台湾への不信感が高まっている」と漏らす。同関係者によれば、トランプ氏が最も問題視しているのは、貿易問題だ。米国の台湾に対する物品貿易赤字は、2025年に急増した。米商務省系統計では、台湾向けの物品貿易赤字は前年からほぼ倍増し、150・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます