三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月刊総合情報誌

WORLD

中東「安全保障喪失」の絶望

スンニ派諸国が「弱者連合」を模索

2026年5月号

 米国・イスラエルとイランの対立は、もはや一過性の軍事衝突としてのレベルを過ぎた。イスラエルのネタニヤフ首相は「次の標的はトルコやパキスタンだ」と騒ぎ、その強硬姿勢は歯止めを失いつつある。中東各国は、この危機的な状況の中、新たな防衛体制の構築に向け、水面下で駆け引きを始めている。
 今回の対イラン攻撃が引き起こしたのは、単なる軍事上の緊張ではない。
 イランの脅威を理由にアラブ諸国とイスラエルの関係改善を図るアブラハム合意が、結果的に中東におけるイスラエルの一極支配を生み出そうとしているのだ。
 パキスタン、トルコ、エジプト、そしてサウジアラビアの外相が、3月29日、パキスタンの首都イスラマバードで、さらに4月17日にはトルコのアンタルヤで会合を行った。
 エジプトは今回のイラン戦争の関与から遠く、スエズ運河を通じた海上交通・供給網への利害を有し、イスラエルとも対話できる立場から主要なプレイヤーだ。
 ただ、トルコの立場は苦しい。トルコが最も恐れるのは、イランの政権が不安定化して、さらに難民が自国に流入することだ。すでに300万人近くの・・・

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます