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《世界のキーパーソン》イベット・クーパー(英外相・英連邦相・開発相)

労働党初の女性宰相を見据える

2026年5月号

 日本と英国は、ユーラシア大陸から少し離れた島国、という共通点を持つ。どちらも侵略するには難しい国とあって、両国の歴史や政治には似たところがある。
 平穏に見えた政界が突如、時の首相降ろしに発展するという現象も、その一つだ。外国のウォッチャーにはわかりにくいが、「次の選挙」をにらむ議員たちが、看板(首相)を替えようと動くのである。
「鉄の女」マーガレット・サッチャー首相の追放劇がその好例だ。サッチャーは、1987年の総選挙で大勝した3年後の90年、党内の造反によって首相職を追われた。長年のサッチャリズムが、国民の不満を買っていることを、保守党の議員たちは見逃さなかったのだ。この時は、後任に選ばれたジョン・メージャー首相が、92年の総選挙で勝利し、議員たちの賭けが当たった。
 キア・スターマー首相率いる労働党は、2024年の総選挙で400議席以上を取った。保守党(121議席)の3倍以上の勢力を持つ。たいがいの民主主義国では、これだけの巨大与党のトップなら、その地位は盤石なはずだが、英国ではそうではない。次回総選挙(29年までに実施)をにらんで、議員たちが「選・・・

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