テイレシアスの食卓 vol.41
時を超える夏の野菜
河井 健司
2026年8月号
最高気温が40度を上回り、記録的な猛暑に見舞われた6月下旬のパリ。少しでも涼を取ろうと、運河で泳ぐ人たちの様子がニュースで流れた。画面に映っていたのは、見慣れたサンマルタン運河の風景。そこは、2年ほど住んでいた10区の安アパートから近く、ひとりでふらっと散歩するにはちょうどいい、お気に入りの場所だった。なんとなく物思いにふけってしまう静かな運河のほとりでは、パリの恋人たちが肩を寄せ合う姿もよく見かけた。ただ残念ながら、運河を流れるのは濁り水。そんな中を泳ぎたくなるとは、相当な暑さだったと想像がつく。ひょっとしたら、ぼうっと水面を眺めていたあのころよりも、いくぶん水質は改善されたのかもしれない。セーヌ川では部分的な遊泳可能区域を設けたと聞く。フランスらしい措置と思いはするものの、パリで猛暑を経験したことのある筆者でも、運河やセーヌ川で泳ぐ勇気はない。あれは2003年の夏。厳しい熱波の襲来があった。
当時、不動産屋を介さずに大家から直接借りていた物件は、建物の5階にあり、6畳に満たない狭小のワンルーム。もちろんエアコンなど設置されているわけがない。かろうじてシャワーが備わって・・・
当時、不動産屋を介さずに大家から直接借りていた物件は、建物の5階にあり、6畳に満たない狭小のワンルーム。もちろんエアコンなど設置されているわけがない。かろうじてシャワーが備わって・・・









