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米国無きアジアの黄昏

中国主導「新秩序」への移行期に

2026年8月号特別リポート

 国際秩序の変容は一つの事件によって訪れるものではない。複数の出来事が積み重なることで価値や制度の揺らぎとして現れる。7月上旬にトルコで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が「同盟の結束」を演出しようとしていた時、中国は原子力潜水艦から戦略弾道ミサイルを発射した。しかし、ワシントンから返ってきたのは超大国らしい強い警告ではなく、拍子抜けするほど抑制された反応だった。欧州は中国経済への依存から抜け出せず、対中強硬に転じられない。世界でパクス・アメリカーナ(米国による平和)の終焉が明らかになり、アジアは中国を軸とする新しい秩序への移行期に入りつつある。その現実を、日本は直視できていないのではないか。

NATOの「亀裂」にロシアの冷笑

 トルコの首都アンカラで開かれたNATO首脳会議は7月8日、2日間の日程を終えて表向きは平和裏に閉会した。首脳宣言では、ロシアを長期的な脅威と位置付け、北大西洋条約第5条に基づく集団防衛への「揺るぎない関与」を改めて確認した。少なくともロシアに対して抑止力を維持するというメッ・・・

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