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中国経済「成長持続」の虚実

広がる格差とバブルの「不気味」

2010年1月号

 中国経済の回復ぶりが著しい。世界金融危機の影響で二〇〇九年第1四半期(一~三月)の国内総生産(GDP)は、前年同期比六・一%の伸びにとどまり、温家宝首相が三月の全国人民代表大会(全人代)で打ち出した「保八」(八%成長の死守)に黄信号がともったが、その後、景気刺激策の効果が表れ、第3四半期は八・九%の伸びになり、通年で八%成長達成は確実になった。
 マイナス成長になるかどうか気をもむ主要国が多い中で、突出した成長率を維持した中国には、世界中から熱い視線が注がれ、経済関係の各種国際会議で中国は中心的存在になった。一〇年には、GDPで日本を抜き、世界二位になるのは確実、外貨準備高(二兆二千億ドル)も日本の二倍を超え、中国の「独り勝ち」がさらに顕著になりつつある。
 国際社会の中国に対する賛嘆、怨嗟とはうらはらに、中国国内では、現状への認識は厳しく、先行きへの楽観論は少数派だ。温首相は事あるごとに「経済回復は動きだしたとはいえ、まだ楽観はできない」と発言している。
 中国のある経済専門家は「八%は、(〇八年秋に決めた内需拡大のための)四兆元のカンフル注射で・・・