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社会・文化

「腰痛」は精神疾患か

85%が「原因不明」という事実

2010年8月号

 多くの人が悩まされる腰痛。実はこのうち八五%が「原因不明」なのだ。あまり効果のない「治療」が横行している日本も、診断を含めその診療方針を変えるときがきている。
 東大医学部22世紀医療センター・関節疾患総合研究講座の研究者が、昨年報告した疫学データでは、国内の腰痛自覚者数は推定一千五百八十万人に及ぶ。それ以前は約一千二百万人といわれていたので、腰痛に悩む人たちは確実に増加している。財団法人厚生統計協会の二〇〇八年版「国民衛生の動向」も、日本人が訴える体の不調で最も多いのが腰痛だとしており、この大部分は慢性腰痛だ。

精神疾患との「併存」


 しかし、腰痛を訴えて医療機関を受診しても、満足のいく結果が得られるとは限らない。むしろ、処方された非ステロイド系抗炎症薬などを服用しても効果が現れず、「ドクターショッピング」を繰り返すケースは掃いて捨てるほどある。
 そもそも、急性も含め腰痛の特効薬は存在しないという現実がある。理学療法も、科学的根拠に基づいた有効治療は皆無といってよい。例・・・