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経済

原発にのめり込む日立製作所

東工大を「原子力村」の拠点に

2012年1月号

 福島第一原子力発電所の事故以来、強い逆風が吹き続ける原子力産業の現状において、相も変わらぬ日立製作所の異様なのめり込み姿勢が一部で話題を集めている。ここにきて伝わるのが、東京工業大学における学長選挙への日立製作所関係者(庄山悦彦氏)の介入だ。  自らの息がかかった候補者のゴリ押しにとどまらず、スキャンダルによる対抗馬の追い落とし疑惑、外部調査委員会の設立など、東工大出身者からの告発情報を通じて学長選での庄山氏の暗躍ぶりが浮き彫りになっている。  国立大学の学長選を舞台にした庄山氏の介入ぶりは実に異様だ。この背景として東工大出身者の間では、いまだに日立最大の実力者である庄山氏(東工大出身)の、「東工大を中核とする新たな原子力村の構築が狙いではないか」と囁かれている。ここから透けて見えるのは、原発ビジネスへの思わぬ逆風で露わになった、日立の原発事業への依存ぶりと焦りなのか。

学長人事を操る

 庄山氏といえば、日立の社長、会長を歴任し、いまだに同社に隠然たる影響力を持つといわれる人物だ。その庄山氏は、「学長選考会議」議長に就任すると、学内のルールには・・・