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連載

西風 374

不興買う維新流「情報統制」
八木亜夫

2012年7月号

 六月十二日、橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」に所属する大阪府議五十七人に、一斉にメールが届いた。

「今回の管外視察(東京・沖縄)は、諸般の事情により見送ることにしましたので、ご理解たまわりますようお願いします」

 維新の会府議団の大橋一功政調会長からのメールは、予定していた沖縄出張の中止を伝えていた。NHKが前日、視察先に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)が含まれていると流したため、「府議団の活動として基地問題を調査すると誤解されかねない」(維新幹部)と過敏に反応し、急遽、取りやめを決めたのだ。

 国政進出を目指す維新は、次期衆院選の公約集「船中八策」の原案を公表したが、普天間の移設問題では明確な方針を打ち出せないままだ。大阪の地域政党にすぎない維新には外交安保に精通した人材がいない。「判断を間違えれば、基地問題でつまずいた民主党政権の二の舞いになる」(維新幹部)ことを恐れ、先送りが続く。

 今回の出張はそもそも、空港振興や観光行政など、基地問題とは関係ないテーマで設定されていたが、神・・・