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連載

西風 380

「お家騒動」避けられぬ維新
八木亜夫

2013年1月号

 衆院選投開票を翌日に控えた二〇一二年十二月十五日夜、大阪市内の繁華街で「最後のお願い」に声を張り上げた橋下徹・日本維新の会代表代行は、その足で近くの党本部に立ち寄り、スタッフらをねぎらった。
「厳しい選挙戦を戦っていただきありがとうございました。次の参院選も頑張りましょう」

 目の前の衆院選の投票箱が開く前から、橋下氏はすでに二〇一三年夏の参院選に目を向けていた。

 大阪の地域政党に過ぎなかった維新は、初めて国政に挑んだ衆院選で五十四議席を獲得し、惨敗した民主党と肩を並べる勢力に躍進した。しかし、党内に勝利の高揚感はない。当初の「過半数獲得」という夢物語だけでなく、自民、公明両党の圧勝で、キャスチングボートを握るという戦略まで狂ってしまったからだ。

 しかも十四議席を獲得した小選挙区では、うち十二議席が大阪。全国的な広がりはなく、維新幹部は「維新に吹いた風は大阪だけの局地風だった。実態は地域政党のままだ」と肩を落とした。

 巨大与党に対抗するため、維新にとっては参院選が天王山になる。ささ・・・