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連載

マスコミ業界ばなし

2013年7月号

■六月、業界紙発行元「日刊自動車新聞社」で突然のトップ交代が行われた。佃義夫社長が退任し、市川優取締役が社長に就任したのだが、これがトヨタ自動車による専横人事だったことが波紋を広げている。  同新聞社は二〇〇九年、一〇年と連続赤字に陥り、大株主のトヨタの意向で佃氏が社長に、元日刊工業新聞社常務の北野靖志氏が会長に据えられた。その後、佃氏は社内リストラを進め、三期連続で黒字を達成。にもかかわらず今回、不可解な「社長解任」となった。  この人事を独自に進めたのは、トヨタ広報所属の三上陽司という人物。「長年、トヨタのウラ広報を務めていた人物で、大手メディアではなく、ミニコミやフリージャーナリストの窓口担当だった。その人脈が買われ、定年後もその業務を担っている」(自動車ジャーナリスト)。三上氏が佃氏解任の理由として提示したのは、「構造改革が進んでいない」というもの。解任通告にあたっては、「反発するなら、総会で解任の株主提案をする」とも言い渡し、さらに、「資本引き揚げ」にも触れたとされる。トヨタは日刊自の株式を二五%しか保有していないが、他の大株主である日産自動車とホンダの委任も取り・・・