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経済

太陽光発電業者の「阿鼻叫喚」

固定買取制度「破綻」で被害続出

2014年11月号

「破産したらどうするんだ」  十月三日、九州電力が行った、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の新規受付留保の説明会会場は異様な雰囲気に包まれた。九州電力の後を追うように東北、四国、沖縄、北海道の各電力会社が相次いで受付中断を発表。当初から無理のある制度設計だったFITが、スタートからわずか三年目で行き詰まろうとしている。ソーラー発電施設を計画中だった事業者や、パネル業者が打撃を受けるだけで終わるものではない。既に契約済みの業者も今後行き詰まる可能性が高く、悲鳴は高まるばかりだ。 「机上の空論」で制度設計  FIT法案が成立した二〇一一年の時点で、先行していたドイツの苦境は明らかだった。重い負担がドイツ国内の家庭や企業を苦しめていたが、日本は先人に学ばなかった。  先頭に立ったのが菅直人首相(当時)だったことは周知の通り。自らの退陣の条件としてFIT導入を迫るなど、正気の沙汰とは思えぬほど再生可能エネルギーの普及に傾注していた。 「仮に制度を導入しても、買い取り価格を適正に抑えればバブルにはならなかった」  エネルギー問題担・・・