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社会・文化

落日の「石原家」

慎太郎「退場」で消えるブランド

2015年1月号

 神奈川県逗子海岸―。一角には石原慎太郎の芥川賞受賞作『太陽の季節』の文学記念碑が立っている。そこからほど近くにある葉山マリーナの一角に、「CONTESSA ⅩⅢ」と名付けられた慎太郎のヨットが陸置きされている。かつては毎週ここへ来て海に出ていた主、慎太郎は近年はほとんど乗ることはなく、四十フィートの船体は陸に打ち上げられた鯨のような趣だ。 「老兵は立ち去るのみというのならもっと早くすべきだった。ここ数年の無駄な立ち回りで晩節を醜悪なものにしてしまった」  自民党の重鎮議員は慎太郎についてこう語った。一九六八年に参議院全国区で史上空前の三百万票という得票数で当選以来、一時引退の時期を除いても四十年以上にわたる政治家生活を締めくくった慎太郎。この重鎮議員が続ける。 「政治家になった二人の息子たちも育っておらず、永田町に石原家のブランドは残らないだろう」 家族を優先した選挙戦  突然の解散総選挙で永田町がひっくり返る中、慎太郎が出るか出ないかという情報は錯綜した。次世代の党幹部は慎太郎が一貫して引退するつもりだったと語る。 「一時は、肺炎紛・・・