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政治

ただのお飾り 「規制改革推進会議」

アベノミクス「手詰まり」の象徴

2016年10月号

 アベノミクスの手詰まり感が強まり、経済再生の切り札は規制改革しかないと言われながら、その知恵袋として九月に始動した「規制改革推進会議」への失望感が、早くも広がっている。
 総理大臣の安倍晋三が「岩盤規制の打破」と訴える意図が、「金融政策の一本足打法」(民進党の前原誠司・元外相)と揶揄される日本銀行の金融緩和策に依存した株価つり上げ一辺倒の政策からの脱皮なら、まだ展望もある。だが、委員十四人の顔ぶれが映し出すのは、安倍の狙いが株価を下落させないために改革姿勢を装うイメージ戦略であり、本気で岩盤規制を壊す覚悟などないという疑念だ。

扱いやすい「御用有識者」ばかり

 安倍は二〇一二年の衆議院議員選挙で政権を奪還すると、総理大臣官邸主導の有識者会議を続々と誕生させた。規制改革推進会議の前身の「規制改革会議」も、その一つだ。民主党政権当時の「行政刷新会議」の分科会を衣替えし、委員は十五人、議長は住友商事相談役の岡素之が務めた。
 十五人のうち、今回新設された規制改革推進会議には五人が委員に「再任」・・・