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政治

役立たずの政官界「知米派」

米新政権で進む対日「無関心」

2016年12月号

 各国首脳の中で最初に、米国の次期大統領に選ばれた扇動家と会談し、「信頼できる指導者」と持ち上げた日本の総理大臣は後世、どんな評価を受けるだろうか。
 世界のメディアも注目した十一月十七日のニューヨークでの両者の会談は、ドナルド・トランプに対する不安から目をそむけたい人々に、安倍晋三が〈案外、いい大統領になる〉と楽観を発信する場となった。就任式前の次期大統領の自宅まで押しかけた背景には、十二月のロシア大統領ウラジーミル・プーチンの来日前に、ヒラリー・クリントンが勝者なら認めなかっただろう融和的な対露政策の黙認を求める意図があったとの見方もある。
 そこに立ち入る紙幅はないが、いずれ腹合わせをすべき人物と早期に会う判断自体はいい。問題は、どんな思惑があるにせよ、いきなりトップが出ていかねばならなかった事情にある。
 トップ同士が決裂すれば、その先はない。トランプが今後も過激な主張に固執すれば、安倍は国際社会に「幻想」を振りまいた愚を笑われる。リスクを承知で動かざるをえなかったのは、日本の対米人脈の偏りで、トランプに通じるパイプがなかったからだ。
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