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政治

「受動喫煙防止」は政治家の責務

塩崎恭久(厚生労働大臣)

2017年6月号

 ―塩崎大臣は原則屋内禁煙を主張していますが、理由を教えてください。
 塩崎 知人にがん患者がいたので、初当選の頃から支援に取り組み、受動喫煙の問題に強い関心を抱くようになった。日本では飲食店で喫煙するのが長く当たり前だったが、世界の主要都市ではずっと前から飲食店を含む屋内禁煙が常識。外国に行くたびに日本は遅れているという思いを強くしていた。
 厚生労働省の調査では、国内だけで毎年一万五千人が受動喫煙で亡くなっている。実に、三十五分に一人のペースで日本のどこかで誰かが受動喫煙で亡くなり、家族や友人が涙している。これを変革する絶好のタイミングが二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックだ。国際オリンピック委員会(IOC)と世界保健機関(WHO)は「たばこのない五輪」で合意し、その後の全ての開催国は罰則を伴う法規制を導入した。受動喫煙が国民の健康に害悪を与えていることを知りながら、厚労大臣として見て見ぬ振りはできない。
 ―自民党内で反対論が強く、意見調整が難航しているのはなぜですか・・・