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米国は金正恩をどう始末するか

北の核戦力「完成前」の限られた選択肢

2017年9月号

 八月十五日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(電子版)は、グアム島周辺に新型の中距離弾道ミサイル「火星十二」四発を撃ち込む「戦略軍火力打撃計画」を検討する金正恩党委員長の姿を写真で公開した。正恩氏の手元の地図には朝鮮半島から黒い一本の線がグアムに向かってまっすぐ延びていた。
 韓国軍関係者は語る。「北韓(北朝鮮)に、グアムを攻撃する気がないことがこれではっきりした」。
 どういうことか。この関係者は「本当に攻撃するなら、こんなにあからさまに軍事機密を明らかにすることはない」と語る。発射地点がわかれば、米韓両軍の監視が簡単になるほか、先制攻撃も可能になる。実際にミサイルが飛んだときの迎撃も容易になるからだ。
 では、なぜ公開したのか。朝鮮人民軍の戦略軍報道官が、グアム攻撃を初めて予告したのが八月九日早朝の朝鮮中央通信だった。この数時間前、トランプ米大統領は休暇先で記者団に「北朝鮮は、世界が経験したことがないような炎と怒りを受けることになる」と発言した。北朝鮮の元高官は「金正恩のメンツを丸つぶしにする発言。とりあえず、北なりの『怒りと炎』を示す必要に駆られたの・・・