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連載

新・不養生のすすめ8

「塩分控えめ」もほどほどに
大西 睦子

2017年11月号

「塩分控えめに」は高血圧の予防や治療、心臓病や脳卒中のリスクを減らすための常識だ。そこで世界保健機関(WHO)は、世界中の人の塩分摂取目標を一日五g未満と提唱した。それに対して、米政府ガイドラインや米国心臓協会(AHA)は一日五・七五g未満、さらにAHAは理想的には三・七五g未満と厳しい塩分制限を推奨している。日本では厚生労働省が、男性一日八g未満、女性七g未満と目標値を設定し、日本高血圧学会は高血圧の患者に、一日六g未満を推奨。実に、各組織で目標値はバラバラだ。
 それにしても、どのガイドラインも目標値がどんどん厳しくなっている。小さじ一杯の食塩は約六g。味噌や醤油を食文化の基本とする日本では、塩分を多く摂る傾向がある。日本高血圧学会によると、きつねうどん一人前五・三g、にぎり寿司一人前(醤油込み)五gの塩分を含む。減塩のため、悲しくも好物を諦めなければならない。
 ところで食塩は、「塩化ナトリウム」とほぼ同じで、ナトリウム量は、食塩の約四〇%に相当する。このナトリウムが高血圧などの真犯人とされる。ただし人体は、ナトリウムを作れず、ナトリウムなしでは、神経や心臓や・・・

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