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経済

「金相場」上昇に注目すべき時

ドル信仰「再崩壊」に備える一手

2019年3月号

「辛抱強くなる」。ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のこの発言で、株式市場が持ち直しつつある。市場からの牽制、いわば「『利上げ見送り』おねだり相場」の前に、タカ派の同氏も政策変更を余儀なくされるのかもしれない。市場では「景気サイクルの終わり」「ドル相場の終わり」が意識された動きが本格化するようになる。となると、ゴールド、金について考える時期にきている。
 この数年は世界的に、投資家の金への関心は低かった。インフレなき通貨を持つ我が国ではなおさらそうだ。だが、もうすでに足元で変化が起こりつつある。主要六通貨に対するドル指数が横ばいを続ける一方、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物(四月限)の価格は、一千三百五十ドル水準の九カ月ぶり高値に上昇している。
 まず長期の金価格推移を確認しよう。一トロイオンス三百ドル未満だった二〇〇一年の米同時多発テロの頃から始まった上昇相場は、その後の金融危機と金融緩和でさらに逆放物線を描いて急騰。一一年九月六日に一千九百二十三・七ドルで天井を打った。その後の下落は、追加金融緩和観測などの買い材料が出尽くしたこと・・・