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アラブの春「第二幕」は広がるか

相次ぐ北アフリカ「政変劇」の今後

2019年5月号

 アルジェリアとスーダンで相次いで大規模デモと政変が起こり、アラブ世界は二〇一一年の「アラブの春」に続いて、「第二のアラブの春」を迎えた。両国は過去何度も大衆運動の経験を持つだけに、変化は漸進的で、持久戦の様相を見せている。大半が軍事クーデターや内戦に終わった第一波とは、異なる展開になりそうだ。

第二波革命の主役は女性

 第二波の特徴は、アルジェリア、スーダンとも女性の役割が目立つことだ。
 最も印象的だったのは、スーダンの首都ハルツームの軍司令部前に、デモ隊が迫った四月八日のことである。
 スーダン国際大学の学生、アラー・サッラーさんが停めていた自動車の上に乗って、歌を歌い始めた。夕暮れを背景に、白いローブ姿で歌ってデモ参加者を励ます姿は、この日の世界中のSNSで大ヒットになった。
 ハルツームのデモは、オマル・バシル大統領に忠実な軍部隊と治安部隊が、大統領宮殿と軍司令部への道を死守して、もみ合いが続いていた。八日は、デモ隊がそれまでで最も大統領宮殿に近づいた日だった。三日後の・・・

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