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米特殊部隊が難渋する「アフリカ」

テロ組織と「中露」との暗闘で忙殺

2019年6月号

 CNNの電子版が二月二日に報じたところでは、米軍の中でも最精強を誇る特殊部隊から二〇一八年に、判明しているだけでも二十二人の自殺者が出た。一七年が八人であることから、三倍近い増加だ。ちなみに一六年は十五人なので、自殺者が減少傾向に入ったと見なされた矢先の急増だ。
 この異常事態の原因については、第三軍と海兵隊所属の各特殊部隊を統合する米特殊作戦軍(USSOCOM)もこれまで、正式なコメントを出していない。ただ、米軍内外から聞こえてくる特殊部隊の現状に関する懸念は、明らかにその「疲労」に集中している。
 〇一年の「9・11事件」から始まった対テロ戦争では、特殊部隊の重要性が一挙に増し、三万三千人から今や二倍以上の六万九千人に膨れ上がった。その任務は現地の武装勢力との戦闘はもとより、テロリストの追跡・捕捉や偵察、情報収集、各国軍隊の訓練等多岐に及ぶ。そしてイラク戦争以降、オバマ政権が大規模な軍事侵攻作戦を控える一方、対テロ戦争の主役を特殊部隊と無人機に転換した結果、「疲労」の問題が深刻化するに至った。
 すでに一七年五月四日に開かれた米上院軍事委員会の公聴会・・・