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連載

西風463

大阪のおっちゃんと「喫茶店文化」

2019年12月号

 大阪B級グルメといえば、たこ焼きやお好み焼きなどがあるが、大阪の中心の梅田で、誰もが知る旨いモンがふたつある。ひとつは阪神百貨店のスナックパークで販売されている「いか焼き」。もうひとつが、阪神電鉄梅田駅の改札近くにあるスタンドで販売されている「ミックスジュース」だろう。いくつかのフルーツに牛乳を加えた関西独特の少し甘めの味だ。
「元祖」と書かれたこの阪神駅近くの店は今年で開業五十年を迎えた。駅の名前は十月から「梅田」ではなく「大阪梅田」に変更されたが、人気は相変わらず。もっとも、本当にこの店が元祖かといえば、そうではないようだ。「元祖」とは、一種のキャッチフレーズであり、原型を作ったのは新世界の「千成屋珈琲」とされている。二〇一六年に一度閉店したものの、翌年復活し現在も営業を続けている。
 ここから広まったミックスジュースが現在も大阪を中心とする関西では広く愛飲されており、ひとつの喫茶店文化を形成している。
「なにを大げさな」と思われるかもしれないが、大阪では独特な喫茶店文化が育まれてきた。
「関西のビジネスマンはすぐに喫茶店で打ち合わせをする・・・