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連載

広告を裏読みする 第13話

五輪スポンサーは得か損か
本誌編集部

2020年1月号

 ここのところ明るい話題の少ない広告業界だが、二〇二〇年は間違いなくオリンピック関連の「特需」に沸くことが期待されている。
 一九年十二月十三日の各紙朝刊に、業界で「三十段」と呼ばれる、見開き二ページの広告が掲載された。広告主となったのは民泊仲介サイト大手の「エアビーアンドビー」。同社は十一月に最上位スポンサーである、ワールドワイドオリンピックパートナーになった。その告知とともに、東京大会の際に自宅を民泊施設として登録するように呼びかける広告だ。このパートナー契約は、「十年で二千億円というのが相場」(広告業界関係者)。エアビー社はラグビーW杯で再び動きを見せた日本国内の民泊市場の開拓に意欲を見せる。通常の民泊は規制が厳しいため普及を阻んできたが、緊急避難的に認められる「イベント民泊」の制度が突破口になると見込んでいるのだ。
「不正使用」に目を光らせる
 最上位パートナーの企業は全世界で五輪ロゴを使った広告を出せるが、その下に位置するのが、東京大会限定のスポンサー企業だ。出資金額によりゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターの三種類・・・