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連載

日本の科学アラカルト 129

環境負荷を低減する 新しい「コンクリート」技術

2021年5月号

 コンクリート・ジャングルという言葉を今も使う人は少ないだろうが、都市部では実際、大量のコンクリートに囲まれて生活している。コンクリートとは「骨材」と言われる砂や砂利に「結合剤」を混ぜたもの。結合剤には様々なものがあるが、我々の周囲に溢れているのは、セメントを使ったものである。
 セメントやコンクリートは古代エジプトやローマの時代から人類が活用してきた。特にローマ時代にコンクリートの活用が広がったことで、建築の自由度は一気に増し、生活が変化していった。
 そうした意味で、すでに古い技術、材料に属するコンクリートだが、今もなお、大量に使用され続けているからこそ、改良や進化は続いている。建築材料としてより使いやすく、性能の優れたコンクリートを作ろうという取り組みが、国内外で行われている。
 最近の「流行り」は、コンクリートの環境負荷をいかに少なくするかというテーマだ。
 コンクリートに必要不可欠なセメントの主原料は石灰石である。これを加熱すると炭酸カルシウム(CaCO3)が分解され、セメントに必要な酸化カルシウム(CaO)に変化するのだが、この際に二・・・

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