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経済

「デジタル通貨」 日銀の牛歩戦術

地方の「金融難民」急増に無為無策

2022年5月号

 日本銀行は、世界的に開発・導入が加速する中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)にきわめて冷淡な姿勢を続けている。安定した日本の金融決済システムに「一切のリスクを持ち込ませたくない」(日銀関係者)という慎重さは理解もできるが、CBDCを遅延させる真の理由は「日銀券」の権威を捨てたくない「中銀コロニアリズム」にすぎない。日本の地方では三十キロ圏内に金融機関の出先やATMがまったくない〝金融難民〟地区が生じ始めている。紙幣・硬貨の回収にコストがかかることから自販機撤去も相次ぐ。デジタル通貨は実は、デジタルに縁遠くみえる過疎地の高齢者を救う金融包摂であることを日銀幹部は実感していない。

発行しない理由を探す連絡協議会

 四月十三日、日銀は「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」の第三回会合を開き、昨年春にスタートしたCBDCの概念実証の「フェーズ1」終了と、「フェーズ2」への移行を宣言した。表面的には日銀版CBDCの「デジタル円」の発行に向け、動いているようにみえるが、内実はまったく逆だ。概念実証を進めるなかで、・・・